後継者の育成(建築大工)その3

阿南さん、神田さん、武津さんが入社して数年後、

まさかの新卒3人の入社希望が・・・

当時、長くて3年前後の若者が2名、他は1~2年くらい経ったのが3名、熟練工が1人。

指導棟梁が育っていない時期にどうして指導すればよいか迷いつつも、たくさんの想いを抱えながら藤丸の扉を開けた新卒3名・・・

そんな彼らの気持ちを考えると、会社として苦しいと思いつつも彼らを採用することにした、

無理をして入れた結果は数字を見れば一目散にわかる。この時期一気に大工手間だけでも見積金額(今よりも高い金額)の倍以上彼らに支払っていた、
福利厚生を考えたら大変な数字・・・

もちろん私や女房の給料は無い

とにかく、若い子が入ってくるようになっただけでも努力し甲斐があったと思っていました。

当時のご協力業者様には「必ず恩返しをするから」と育成への協力を呼び掛けた
ほとんどの業者さんが賛同して頂き、ムダ・ムラを省く会議やCADを使っての上棟までのプロセスなどの勉強会に集中し、もくもくと働き続けた。

当時、米良に作業場があり、夜遅くまで煌々と電気がついている作業場。
近くに住んでいた山崎棟梁は「ここに入社するとこんな遅くまでするんや・・・」と前を通るたびに感じていたそう。
結局数年後藤丸建設に入社することとなりますが(笑)

まだまだ指導棟梁がいない中、迎えた3人の新卒。
技術面で一番困ったことは、手造りに要の墨付け作業(桁表し・構造材が全部化粧で見える状態を覚えさせる事でした。

木の上下や反り・強度・色艶・継ぎ手のいち・乾燥状態等間違いのないように墨付けすることは短い就業期間では至難の業。

思い切ってさせてみたら間違いだらけで・・・穴があったら入りたい心境(^-^;)
こんな失敗の多い上棟が何回も続いた、正直今と比べ物にならない。
失敗した木材は取り換えなければならないから材料費や人件費が嵩む。

しかし、こんなことを繰り返し、繰り返ししてきて、今がある。

任せた以上間違っても叱るわけにはいかない。
基本んをしっかりやっていればそんな失敗はない
基本を守らない子には厳しく罵声も飛んでいた

3年を迎えたある日、40坪の住宅の建築が決まった

「美根くん、墨付けをやってみるか?」

「は・・・はい」

当時の心境は美根さんが以前お話をしてくれたことをブログに乗せていますので、そちらも見てみてくださいね
美根さんのお話

様子を見ていたら2時間くらい何もせずただボーっとヒノキの土台の前で突っ立っていた。

早かったか・・・?と思いながらも・・・
夜中に様子を見に行ったら、黙々と墨付け作業をしてかなりの本数が終わっていた。

その時の輝いた目と姿勢は今でもはっきり覚えている。
「これはいける」と思いつつ、そしていよいよ上棟の日を迎えた・・・

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